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探偵の債権回収業務は違法行為

探偵の債権回収業務は違法行為?

債権とは、売掛金、弁済金、勝訴判決後の未回収金、交通事故未弁済金、和解金、損害賠償金、未収求賞金など様々なものがあります。この債権が回収や、支払いが滞っている際には、誰しも専門家に頼ることを考えると思います。ここでは、債権回収の手助けをしている探偵社について考察します。

探偵に債権回収依頼は注意

探偵事務所のホームページなどの広告宣伝に、債権回収の表示をしているのを見かけることがあります。

弁護士や債権回収会社(法務省が許可)以外が、業として行う事は違法とされています。但し、探偵社に関わらず、司法書士行政書士のホームページにも同様の記載が多くみられます。

つまり、債権回収業務に関わることが違法行為ということではありません。

要するに、弁護士とその他の職種では出来る事と、出来ない事があるという事です。トラブル事前に防止するには、その線引きを理解することが大切です。

先ずは、専門家である「司法書士」と「行政書士」についご説明いたします。

司法書士の業務と権限

不動産の権利の移転の場合の登記や、会社を設立したり役員を変更したりするのが仕事です。

但し、特別な研修を受けて試験に合格し、法務大臣から認定を受けた「認定司法書士」のみ、140万円以下の債権回収の交渉を代理したり、簡易裁判所において、弁護士とおなじように代理人になったりすることが認められています。

行政書士の業務と権限

行政機関に提出する書類の作成代行をするのが仕事で、運転免許試験場の近くで「申請書の作成」や「入国ビザの申請」など許認可を得るための申請書の作成が主な仕事です。

債権回収に関することでできる主な業務は次の通りです。

  • 依頼者名義で、内容証明郵便による催告書の作成
  • 契約書の作成

探偵の業務とは?

探偵業者は、探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)の範囲内で調査を行なうことが可能とされています。探偵業法には、「探偵業務」は以下のように定義されています。

第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

以上のように、探偵には、債権回収に関係する特権は与えられていません。

問題は債権回収相手との直接交渉

以上のように、債権回収などの業務を行う場合は、債権管理回収業の許可を得ている業者か、もしくは弁護士などの専門職に限られており、探偵業者の業務ではありません。

仮に、探偵業者が、債務者と直接交渉し、本当に債権を回収したとしても、それは違法行為です。また、行政書士等も同様です。債務者と直接交渉するには、弁護士のように許可された者が行う必要があります。

債権回収業務に関係する弁護士法とは?

弁護士法とは、弁護士以外の者が法律に関わる業務を営利目的で行うことを厳しく制限するための法律です。債権回収業務を営む上で、必要な弁護士法には72条と73条がありますが、参考として72条についてご紹介いたします。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用元:弁護士法72条

非弁行為の禁止

この条文で記載されている法律業務というのは、法的な紛争における当事者間の相談、交渉、訴訟の代理人などの法的業務であり、弁護士以外の者が営利目的で行ってはいけないということを表しています。

つまりは債権回収に置き換えると、催告書や裁判所への提出書類の作成、債務者との交渉、訴訟の代理人などを弁護士または法律事務所以外の業者が行うことができないということです。この弁護士以外の者が行う法律業務を非弁行為と呼びます。

トラブルの原因は誤認勧誘

ここまでご説明しました通り、探偵が債権回収に関わることは違法ではなく、債務者と交渉するなど非弁行為が問題となっています。

探偵業者が債権回収の為に必要な調査を行うことは違法ではありません。例えば、「債務者の自宅特定」や「債権者の勤務先の特定」などです。

要するに、債権回収に関する調査をしている各探偵社は、非弁行為に当たらない探偵業法の範囲内で調査をしていると考えられます。

つまり、探偵に依頼することで、お金が帰ってくるわけではありません。探偵は、請求相手の所在を特定するだけで、結局は、交渉は自分で行うか、弁護士に頼る必要がありそうです。

債権問題に関しては、探偵ではなく、弁護士にご相談頂くのが無難だと考えられます。

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